みなさまこんにちは。
福岡店の村山です。
今回は、個人的に興味をそそられた、おすすめの1着をご紹介させていただきます。
みなさまもご存知、日本のトップ前線を走るブランド【sacai】のライダースジャケットです。
sacai/¥246,400(税込)/サイズ:1(S位)オンラインショップで見る
2022年秋冬に発売されたこちらのジャケット。
【sacai】×【MADSAKI(現代アーティスト)】×【Schott】のトリプルネーム。
ご存知の方も多いのではないでしょうか。
発売当初、かなり話題を集めましたね。
【sacai】と【schott】は知ってるけど、【MADSAKI】って誰、、と疑問に思った方も多いはず。
まずは、簡単に【MADSAKI】氏についてご説明させていただきます。
【MADSAKI】氏は、村上隆氏が率いるkaikai kikiに所属している、現代アーティストで、村上隆氏からも一目置かれている方です。
彼の作風は、過去のモノ(有名な絵画など)を再解釈し、現代の社会に対して風刺的なメッセージ性を込めた作品が特徴的です。
前置きはさておき、さっそく、こちらのレザージャケットの魅力を探究していきましょう。
【schott】の伝統的な「Perfecto」をベースとし、そこに【sacai】ならではのエッセンスが加わったデザイン性。
さり気く、緑色に染まったジッパーテープ。
無骨なレザージャケットも、【sacai】のデザイナーである、阿部千登勢氏の手にかかればモードなアイテムへと昇華されます。
「Sheeple, Zombies and Kool-Aid」という文字の入ったバックプリント。
こちらが、個人的に面白いと感じたポイントです。
この文字はいったい何を意味しているのか。について1つ1つ紐解いていきましょう。
まずは、「Sheeple(シープル)」という言葉。
こちらはSheep (羊)とPeople(人々)を組み合わせた造語です。
Sheep (羊)は群れたがる性質を持ち、群から引き離されることを嫌う。
群れが右に行けば右に行き、左に行けば左にいく、「群れの思考」をもつ生き物。
一方で、People(人々)も同様の性質を持つ生き物。
つまり、「Sheeple(シープル)」という言葉は、自分の頭で「物事の本質について考えること」をやめた、群衆心理でしか動けない、現代人を指しています。
続いて、「Zombies(ゾンビ)」という言葉。
ゾンビはホラー映画などに登場する架空の生物。
映画などでは、自我を失い、ただ徘する存在として比喩的に使われることが多いゾンビ。
つまり、こちらも思考停止した人々、無気力で支配されている群衆を指しています。
そして、最後に「Kool-Aid(クールエイド)」という言葉について、この言葉は、「むやみに信じる」「無批判に従う」などの意味を持つ慣用句です。
つまり、この3つの言葉は全て共通の意味をもち、「思考停止している現代人」を指しているのです。
そして、最も重要なポイントが、この作品が「いつ発売されたのか。」ということです。
こちらのアイテムが発売されたのは2022年。
2022年といえば、世界的パンデミックを引き起こした「COVID-19」の感染者数等が国内においてピークに達した年でした。
私達は、メディア(政府)からの情報が本当に正しいことなのかすら分からないまま、情報を鵜吞みにしていました。
ワクチン摂取率は世界一でありながら、感染者数等は過去最多という矛盾にすら気づかず、世界的に歪み合ったそんな時代。
つまり、この作品はそんな社会で生きる、我々現代人に対しての風刺的表現なのです。
個人的な解釈としては、
この作品は、時代を超越した現代アート的作品だと捉えています。
なぜなら、この作品を未来の人達が見たときに、「2022年はどういう時代だったのか」ということを理解することができる、ある種の文化財的役割を果たしているからです。
そして、現代においても常に周りの目を気にし、流行や権威に従い続ける私達、現代人に対しての風刺的メッセージとも捉えることができるからです。
いかがでしたでしょうか。
「モノの見方」を考えさせられますね。
今見ているモノは、見ているモノでしかない。
しかし、「情報」や「文脈」を理解して見ることで、網膜的な「魅力」だけでなく、「本質的魅力」に気づくことができるのかもしれませんね。