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今あらためて知りたい、[COMME des GARCONS]の縮絨の魅力
Buyer's VOICE
こんにちは、RAGTAG渋谷店の遠藤です!
今回特集させていただくのは、私が敬愛する[コムデギャルソン]、その代名詞のひとつともいえる縮絨加工についてです。
「縮絨って聞いたことあるけど、一体何なの?」という方も、これを読めばきっと最後には縮絨の魅力の虜になっているはず。
[コムデギャルソン]のこれまでの歴史を辿りながら、その魅力を紐解いていきましょう。

Profile
ENDO
渋谷店 / バイヤー
COMME des GARCONSやnoir kei ninomiyaを中心に、時代が変わっても揺らぐことのない美しさと、強さの中にも繊細さを感じるブランドに惹かれます。これまでドメスティックからストリート、インポートブランドまで幅広く触れてきましたので、ご来店の際にはお好きなブランドやお洋服のお話で盛り上がれたら嬉しいです。
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縮絨加工とは?

突然ですが、みなさまはご家庭のお洗濯での失敗はありますか?
ウールやレーヨンのお洋服を間違えて洗濯機に入れたらびっくりするほど縮んでしまった!という経験はございませんか?
(きっとお洋服を愛するみなさまはそんなことはしないかもしれませんが…。私は職業柄、お客様に素材やお手入れ方法のご説明をするために水洗い不可の素材もお洗濯してみることがあります。が、決してマネしないでください!)
今回お話しする縮絨加工とは、毛織物やニットの繊維に溶剤を含ませ、圧力や摩擦を加えて収縮させる、つまりフェルト状にすることで組織を緻密にし、肉厚で強度の高い生地をつくる加工のことです。
ウールのニットが縮んでしまった!というのも、よく言えば縮絨加工のようなものなのです。

縮絨は、加工する時間や温度によって軽縮絨、強縮絨など風合いを変えることも可能です。
ちなみに[コムデギャルソン]の縮絨加工は、一点ずつ手作業で熱湯をかけている!という噂も。熱湯のかけ具合によって縮絨のかかり方や風合いに個体差が出るようです。つまりほぼ一点もの。これもまた魅力ですね。

こちらの写真は2014年春夏コレクションの“ポリ縮”ジャケット。
“ポリ縮”は、ご家庭でのお手入れも簡単で通年着用できることから汎用性が高く、定番人気のアイテムです。(ポリエステルなので基本的には洗濯機で洗ってもOK!ちなみに[コムデギャルソン]の製品はほぼ全てのものが水洗いできるという話を聞いたことがありますが、正直私でもそこまでする勇気はありません…)

“ポリ縮”には特有のシワ感があり、これが所謂[コムデギャルソン]を象徴するような退廃的な雰囲気を醸し出しているのです。生地を見ただけで[コムデギャルソン]だと分かる、やはり唯一無二だと思います。
“ポリ縮”はジャケットやパンツ、スカート、ワンピースなど様々なアイテムがリリースされており、流通量はウール縮絨よりも圧倒的に多いので、比較的手に入れやすいアイテムです。まずはこれを持っておけば間違いなし!のアイテムですね。
一方で“ウール縮絨”は、2022年秋冬コレクションで久しぶりにコレクションラインとして登場したことがファンの間では話題になっていましたね!
[コムデギャルソン]の縮絨といったら“ウール縮絨”一択!という古参の方も多そうです。
そもそも[コムデギャルソン]の縮絨の始まりは、なんと1994年秋冬コレクション、今から約30年前にさかのぼります。
縮絨生地の原点

〈2022年秋冬コレクションにて発表されたCOMME des GARCONS HOMME PLUSの縮絨ジャケット〉
[コムデギャルソンオムプリュス] 1994年秋冬コレクション、これが今なお語り継がれる伝説の縮絨コレクション“オフ・ビート・ユーモア期”です。同年に発表されたウィメンズコレクションも、“ウール縮絨”がメインの「メタモルフォシス」というテーマのコレクションでした。
前述した縮絨加工は、本来であれば服を作る前の生地作りの段階で行うものですが、なんとこちらのコレクション、完璧に仕上がった製品の上から縮絨加工を施すという、当時では相当革新的なことをしていました。

製品化したものに縮絨加工を施すとどうなるでしょうか。…そうです、ものすごく縮みます。しかも当時のコレクションでは、あえて通常通りのサイズで仕上げたウールのジャケットに縮絨加工を施したそうです。
ご想像通り、パッツパツです。90年代当時のパリコレクションではおそらく誰もがざわついたであろうこの前衛的な手法、これだけでもかなり攻めているのですが、一番のポイントはなんと「裏地が露出している」こと。

縮絨加工というのは素材の特性によって縮む生地と縮まない生地があるのですが、このコレクションは、縮んだ“ウール縮絨”の表生地の袖口や身頃の裾から、加工を施しても縮まなかったキュプラの裏地が露出しているという、斬新なアイディアのものでした。
これが偶然の産物か、それとも川久保さんの計算通りだったのかはわかりませんが、この「本来は見せない部分ですらデザインの一部にしてしまう」という、我々の想像を遥かに超えてくるものづくりへの姿勢、まだ見ぬものへの絶え間ない挑戦、「美しさ」の再定義…これが今もなおファンの心を掴んで離さない理由かもしれません。
30年の時を経て


先ほど、2022年秋冬コレクションで“ウール縮絨”が久しぶりにコレクションラインで登場したことをお話ししましたね。
こちらの写真が、[コムデギャルソン]2022年秋冬コレクション“BLACK ROSE”の“ウール縮絨”ジャケットです。くたくたに縮絨加工されたウールの表生地、後ろ身頃の大胆なカッティングが特徴的です。

ちなみにこちらの“ウール縮絨”ジャケット、袖口をよくご覧ください。
こ、これは…!そうです、94年秋冬コレクションを彷彿とさせる裏地の露出。ファンには堪らないディテールです。

2022年秋冬コレクションは、[コムデギャルソン]の各ブランドから様々な“ウール縮絨”アイテムがリリースされました。
中でもコレクション発表から大注目だった[コムデギャルソンオムプリュス]の“ウール縮絨”アイテムは発売日から即完売のアイテムやカラー、サイズもあったようですが、なんとRAGTAGにも一部在庫がございます!
オンラインショップからお近くの店舗にお取り寄せも可能ですので、ぜひお気軽にお手に取ってご覧になってみてください。

長きに渡って世界のファッションシーンに影響を与え続ける[コムデギャルソン]。スタート当初の貴重なアーカイブアイテムから最新コレクションまで、お買い取りも大変強化しております。
みなさまの貴重なお品物、ぜひ一度拝見させてください。
お買い取りの際にはぜひ、[コムデギャルソン]への愛やお好きなコレクションなども聞かせてい ただけると嬉しいです。
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