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[HERMES]伝承される職人技術とこだわり
Buyer's VOICE

Profile
TSUKIOKA
銀座店 / バイヤー
20年以上銀座在職する中、エルメス、シャネル、ルイヴィトンはもちろん、高級ブランドジュエリーや宝飾系時計、サルト系の洋服や高級靴に魅せられてます。お客様との一期一会を大切にし、次のお客様への架け橋になれれば幸いです。
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馬具工房として誕生した[エルメス]
[エルメス]のはじまりは今から190年近く時を遡ること、1837年ティエリー・エルメスによって始まったパリの馬具工房になります。
主に馬の鞍を制作し、パリ万博にて金賞も受賞しました。
しかし60年も続いた馬具工房も1900年代に入ると、ヨーロッパでも馬車から自動車の普及が始まり交通機関の転換期を迎え、この頃から[エルメス]が馬具工房から、ライフスタイルを提案する皮革製品工房へと転換して現在へと至ります。

約200年も続く[エルメス]、その根底のあるのが職人技の伝承、物へのこだわりです。
2014年に東京国立博物館で開催された[エルメス]展覧会で、[エルメス]の職人さんが、バッグや小物をその場で縫い合わせやカットしていたのを、間近で拝見させていただいた時、いとも簡単に細かい手作業をこなしていたのを今も鮮明に覚えています。
職人技術が詰まった代表作
ではここからは[エルメス]の代表作を言われるモデルを歴史とともにいくつかご紹介させていただきます。
[エルメス]の代表作を言えば、“バーキン”、“ケリー”はもちろん、“ボリード”、“コンスタンス”、“プリュム”、“エブリン”と、名作と言われるバッグをこの世に数多く送りだしています。
オータクロア

[エルメス]といえば“バーキン”、“ケリー”ですが、実は“バーキン”も“ケリー”も後々に登場するバッグです。
その原型ともされたバッグは1892年に発表された“オータクロア”と言われる馬鞍を入れるための馬具屋ならではのバッグでした。
実際、過去に“オータクロア”をお買い取りさせていただいた際も、“バーキン”よりやや縦長なモデルなのですが、正確で美しい縫製、丈夫な作り、耐久性に富んだ素材選びなどに、非常に感嘆いたしました。
現在も“オータクロア”は存在していて、ベーシックなタイプからモダンにアレンジされたものまでアップデートし続けています。
ボリード

[エルメス]史上初となる“オータクロア”のバッグ発売から約30年後の1932年に、当時“ブガッティ“と呼ばれた現“ボリード”の原型バッグを発表します。
この“ボリード”は3代目[エルメス]社長のエミール・デュマ氏が当時ヨーロッパではあまり知られていない車の幌を留めていたファスナーをカナダで発見し採用、世界で初めてファスナーが付けられた皮革素材のバッグ。
歴史的なバッグ市場の幕開けと言っても過言ではありません。こちらのボリードも誕生から約90年、現在も進化し続けております。
ケリー

1935年に[エルメス]の代表作の“ケリー”が誕生。
当時は“サック・クロワ”の呼び名で発売されていました。
モナコ国王に嫁いだ故グレース・ケリー王妃がご懐妊中にパパラッチからカメラを向けられた際にお腹を隠したことから“ケリー”を呼ばれるようになり、カジュアルシーンから、フォーマルシーンまで使用用途の幅広い“ケリーバッグ”は、現在も高い人気を誇ります。
バーキン

そしてついに世界の人々を魅了する“バーキン”が1984年に5代目社長がフランスの女優ジェーン・バーキンに提案する事によってこの世に誕生し、現在の人気に至ります。

このように世界の人々を魅了し続ける[エルメス]のバッグ誕生の秘話の裏側、根底には冒頭にも申し上げましたが、約200年も続く企業[エルメス]が貫く職人技の伝承、物へのこだわりです。
私個人も愛用してる[エルメス]の“ドゴン”という長財布も、来年20周年を迎えることとなりますが、職人技が現在も生きており、へたることなく、より一層いい質感になっております。
今回は[エルメス]というブランドの魅力と歴史を特集させていただきましたが、次回は[エルメス]の革の魅力もお話したいところです。
最後までお読みいただきありがとうございました。