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ラグジュアリーストリートの火付け役[OFF-WHITE]
Buyer's VOICE

Profile
SAKASHITA
WEB買取チーム / バイヤー
国内外のストリートブランドやスケートブランド、グッドレギュラーなヴィンテージなどカルチャー色が強い洋服が好きです。できて間もなく流通が少ないストリートブランドや、広く展開していないローカル系のスケートブランド、市場で見かけないヴィンテージアイテムなどありましたら、是非ご相談ください。
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デザイナー紹介:ヴァージル・アブロー
創業デザイナーはヴァージル・アブロー。
大学では建築を専攻。卒業後、ラッパーのカニエ・ウェストと共に[フェンディ]でのインターンシップを経験した後に[オフホワイト]の前身となるブランド[パイレックスヴィジョン」を設立します。
[ラルフローレン]のシャツや[チャンピオン]の既製品の背中にブランドネームとナンバリングをプリントしたアイテムをリリース。流通量が極端に少なく国内での取り扱いも極少数であったため、当時は僕も必死に探して買った記憶があります。
このブランドのアイテムは形を変えて現在も復刻しておりますが、当時の物はアーカイブ市場でも数が減少しており、現在でも高値で取引されています。
[オフホワイト]とは

[パイレックスヴィジョン]や[フッド・バイ・エアー]設立後の2013年に現在の[オフホワイト]を立ち上げます。
背中に大きなストライプ通称「バイアス」、四方に伸びた矢印通称「アロー」を筆頭にアイテムを展開し著名人の着用などをきっかけにブランドが大きく成長していきます。

この間に「RSVP Gallery」というセレクトショップをヴァージル・アブローを含めた共同経営でオープンします。
2010年代前半には「comme des fuckdown」の刺繍が入ったニットキャップやキャップが当時のストリート系のファッションコミュニティで突如として流行しました。このアイテムのブランドの発信元が実はこのショップ。それがきっかけで以後、世界中から注目されるショップになりました。

また、この頃を境にハイブランドのパンツやスニーカーに[パイレックスヴィジョン]や[オフホワイト]のTシャツなど、主に黒のワントーンでハイブランドベースのコーディネートにストリートテイストを取り入れたスタイルが流行しました。
当時のスタイリングは「ストリートゴス」などとも称されており、検索していただければ当時の雰囲気がわかるかと思います。
[オフホワイト]は洋服自体の形はかなりシンプルですが目を惹かれるグラフィックとイタリア製にこだわったアイテムでSNS上でも席巻していきます。
[オフホワイト]を象徴するジップタイ

グラフィックのみならず、必ずといっていいほどついてくる赤のバンド通称「ジップタイ」。ジップタイを見れば「オフホワイト」のアイテムを身につけているということを認識できるくらい、象徴的なアイテムへとなりました。
多岐にわたるコラボレーション

[オフホワイト]は様々なブランドとコラボレーションを果たします。
代表的なコラボレーションといえば、2017年に発表された[ナイキ]とのコラボレーションの数々ではないでしょうか

1番最初にリリースしたシリーズ“THE TEN”は1ヶ月間に渡り計10型をリリース。毎週スニーカーの抽選告知があり当時は僕の周りも1ヶ月間はこのコラボレーションの話題で持ち切りでした。
建築を専攻していた背景もあり建築資材に見立てスニーカー用にアップデートしたファブリックを使用したディテールに赤のジップタイは、「オフホワイト」らしいデザインもあり、リリースしてから現在までプレミア価格で流通しています。
Off-White × Nike Air Vapormax "The Ten"


Off-White × Nike Blazer Mid "The Ten"


“THE TEN”をきっかけとして、今でも新作をリリースしています。型のバリエーションが増えてきている事もあり、[オフホワイト]のアイテムが欲しい!といった方でも当時より買いやすい値段にはなってきています。
このコラボレーションを皮切りにスニーカーのみならずDJ機材やペットボトル、車のデザインやミュージックビデオの監修など至る所でコラボレーションし、デザインをしていきました。
コレクションブランドとしての[オフホワイト]
2010年代にストリートブランドとして立ち上げラグジュアリーストリートのパイオニアとして成長した[オフホワイト]は2019年頃にブランドロゴを刷新します。
これまではフォントのみのブランドタグだったのですが、この頃からフォントを取り除き、コントラストをつけた顔に両手のみのグラフィックデザインがブランドタグになりました。
このグラフィックは通称「スウィミングマン」と呼ばれており、よく見ると左右で違う顔つきや両手の骨格など造形が違うことがわかります。

デザイナー本人が亡くなり諸説ありますが、これには生前からヴァージルアブローがデザインにおけるテーマのひとつとして掲げていた「エイジレス・ジェンダーレス」をコラージュさせたデザインなのではないか、という説があります。
このロゴになってからは今までにあったロゴ系のアイテムはそのままにグラフィック、ストリートテイストを抑えてシンプルなメッセージに二重引用符(“~”)、形や色味もベーシックでシルエットにフォーカスしたアイテムが多くラインナップされていきました。
「バイアス」「アロー」などのロゴはさりげないポイントに留めて、ミニマルなスタイリングで着用している人も多い印象でした。

イメージを刷新して数年後、ヴァージル・アブローは2021年に亡くなり[オフホワイト]のデザイナーは交代。現在はデザインチーム一新してディレクションにヴァージル・アブローが信頼していたスタイリストのイブラヒム・カマラが就任しています。
ファッション誌編集長というキャリアながらヴァージル・アブローの元でスタイリストとしての肩書きも持っています。そんな彼が今後見せてくれる[オフホワイト]にヴァージル・アブローイズムに期待しています!
最後に

今回はデザイナーにフォーカスしたお話をさせていただきましたがいかがでしたでしょうか。
ヴァージル・アブローがデザインしたアイテムは必ずと言っていいほどデザイン元があります。元を知ると理解度も深まり奥行きも出て愛着が沸いたりする事も少なくはないはずです。
グラフィック物が多くリリースされていますが、前述のように形はかなりシンプルなので案外着こなしやすいアイテムが多いので是非お試しください。